根付について
根付けは、煙草(きせる)入れや印籠に付けられ、
着物の帯から滑り落ちない為の道具として使われていました。
特に、喫煙具の道具として使用された江戸時代以降、
それぞれに工夫や意匠をこらしていった結果、
喫煙という目的を超えたアクセサリーとしての付加価値が求められることとなり、
江戸の人々は、ステータスアイテムとして
粋な根付けを身につけて持つことに熱狂し、酔いしれました。
現在の感覚に置き換えると、高級腕時計を身に付けたり、
高級外車を乗り回すといったところでしょうか。
そして、この傾向は、江戸から明治に変わると一層強まり、
実用性と装飾性は、共に充実していきます。
その理由には、1に、明治維新により旧幕府制度が崩壊し、
庶民が身を飾ることに規制がなくなったこと、
2に、廃刀令によって刀剣類の装飾に携わっていた職人が、
一斉に煙草入れなどの小物を作り始めたこと、などがあります。
より多くの人に愛好された根付の条件は2つあり、
1に、必ず紐や鎖を通す穴があること、
2に、丸く出っ張りの無い形であることがあります。
また、材質には、象牙・角・木・竹が使用されました。
形状は、人間や動物をそのまま彫った「形彫」、
象牙や角を皿にして金属の蓋をつける「鏡蓋」、
饅頭のように丸く加工した「饅頭形」があります。
また、デザインもさまざまに存在し、一口に根付けといっても、
奥の深い世界が広がっています。
どんなに時が経とうとも、現在も多くの人を魅了する根付の世界を、
堪能してみてはいかがでしょうか。